多発性嚢胞腎の特徴は、ある年齢に達するまで自覚症状がまったくないことです。そして何かのきっかけで、多発性嚢胞腎であることが発覚します。
障害年金では、この多発性嚢胞腎が発覚した日、あるいは、それを発見するきっかけとなった病気(血尿など)で初めて医師の診断を受けた日を初診日として認定し、国民年金、厚生年金、共済年金のどの制度で障害年金を支給するかを決めています。
多発性嚢胞腎が発見される状況は、さまざまです。腎臓と違う病気で入院し、検査を受けたときに、たまたま発見されることもありますし、血尿や腰痛といった多発性嚢胞腎特有の症状で受診し、検査を受け、その結果、発見されることもあります。
審査では、この多発性嚢胞腎が発覚した状況に応じて、初診日を「多発性嚢胞腎の自覚症状で受診した日(まだ多発性嚢胞腎は発見されていない)」とするのか、「多発性嚢胞腎が発覚した日」とするのかを個別に判断しています。
ですから障害年金の手続きでは、「自覚症状があり病院受診した日」と「多発性嚢胞腎が発覚した日」の両方が審査官にわかるよう書類を整えていくことが大切です。
障害年金は初診日を特定し、その初診日を書類に書き込まなければ申請させてくれません。しかし、前述したように多発性嚢胞腎の場合、初診日が正確にわからず、初診日を特定できないという事態に陥ることがあります。それでも、初診日を書類に書き込まなければ申請させてくれませんので、どこが初診日か迷った場合は、とりあえず「多発性嚢胞腎臓特有の自覚症状が出て初めて受診した日」を初診日とし書類を作成しましょう。審査を受け、結果として「多発性嚢胞腎が発覚
|
|
した日」が初診日となったとしても、不利益に扱われることはありません。
病歴状況申立書を作成するさいは、いつ頃から自覚症状が出て病院受診したか、また何年何月の検査により多発性嚢胞腎が発覚したかを必ず書いておく必要があります。初診日の医証や診断書では、多発性嚢胞腎の発覚時期の詳細が確認できない場合がありますので、当時の状況を病歴状況申立書でフォローしてあげることが大切です。
次に、人によっては、多発性嚢胞腎が発覚したときに、まだ腎機能の低下がみられないことがあります。また、多発性嚢胞腎の告知後、通院の指示がなく、数年、受診していな期間がある場合もあります。
しかし、仮に受診をしていなかったとしても、その期間(受診していない期間)について身体の状態などを病歴状況申立書に書いておかないと申請書類として有効とされませんので注意してください。
多発性嚢胞腎の診断を受けた日(初診日)が、かなり昔で、初診日の医証がとれないことがありますが、このときは、とくに書類作成に注意が必要です。役所の扱いとしては、このような場合、「受診状況等証明書が添付できない理由書」を書いて提出すれば申請させてくれますが、この書類を提出しただけで障害年金が認められることはまずありません。多くの場合、「初診日が特定できないため不支給」となりますので、初診日が客観的に特定できる(特定できない場合は推定できる)書類をそろえて、申請するようにしましょう。なお、多発性嚢胞腎の発覚前に、糖尿病や尿異常などで医師にかかった場合は、「糖尿病」や「尿異常」で初めて医師の診断を受けた日が初診日として優先されます。
◆人工透析と障害年金の関係 |
人工透析+経過良好→障害年金2級になる!
人工透析+経過不良→障害年金1級の可能性も!
人工透析+別障害→障害年金1級の可能性も! |
※検査成績(クレアチニンなどの数値)が一定の基準を超え、日常生活に
制限を強いられていた場合は、人工透析を施行していなくても1〜3級
に認定されます。 |
|