◆いつ請求するかを見極めよう
それでは障害共済年金は、いつ請求するのがいいのでしょう?
ここでは、実際に障害共済年金を受給された方の請求時期を紹介しながら、
請求のタイミングについて考えてみたいと思います。
【国家公務員共済 Kさんの場合】
Kさんの場合、うつ病で病気休暇を取得、その後、休職を続けましたが、
3年たっても病状が改善しませんでした。休職中に障害共済年金を請求
できることを知りましたが、共済組合加入中は支給調整されてしまうため
受給できないと思い退職後に請求することとしました。
退職する数カ月前から準備を進めていたため、退職とともに障害共済年
金の受給権を取得しました。
◎コメント
障害共済年金は、在職中は支給されないか、または非常に少ない額になってしまいます。
そこで障害共済年金を請求するタイミングとして、退職してすぐの時期を選ぶ方はとても多
くいます。とくに退職してしばらく自宅療養する場合は、収入がしばらく途絶えますので障害
共済年金を一日でも早く請求するべきだと思います。
【地方公務員共済 Sさんの場合】
Sさんの場合、うつ病と診断され、すぐに病気休暇、休職をとりましたが、そ
の後も病状が安定せず休職満了前に自ら公務員を退職されました。退職後
は傷病手当金を1年6か月受給できたため、障害共済年金はすぐに請求せ
ず、傷病手当金の受給を終えるとともに請求することにしました。
◎コメント
障害共済年金と傷病手当金の受給権が同時に生まれた場合は、障害共済年金で支払われ
る額の分だけ傷病手当金が減額されてしまいます。そこで多くの方がSさんのように傷病手
当金受給中は障害共済年金の請求を見合わせます。ただし傷病手当金の支給期間が終わっ
てから手続きを進めると、(手続きに2〜3か月を要してしまうため)数カ月分、障害年金を損
してしまいます。傷病手当金の支給期間が終わる2〜3か月前から準備を進めることをおす
すめします。
【国家公務員共済 Eさんの場合】
Eさんの場合、統合失調症で公務員を退職されました。その後、自宅療養を
続けていましたが、障害共済年金の存在を知らなかったため請求はしていま
せんでした。発病から6年ほど経った頃、障害共済年金の存在を知り、過去
に遡って請求。過去5年分の障害共済年金+障害基礎年金が認められまし
た。
◎コメント
障害共済年金の存在を知らなかったために請求が遅れる方も少なくありません。そのような
場合でも障害共済年金は請求できます。ただ請求が遅れれば遅れるほど年金を損しますし、
Eさんのように遡及請求が認められるケースは稀です。障害共済年金が請求できると知った
ときは、できるだけ早く手続きをすすめることが大切です。
【地方公務員共済 Mさんの場合】
Mさんの場合、在職中に脳腫瘍を患い、手術の結果、半身麻痺となりました。
障害の程度が2級に近いと判断できたため、障害基礎年金を受給する目的で
請求しました。その結果、障害等級2級を取得、在職中であったため障害共済
年金は支給停止となりましたが、障害基礎年金については支給停止とならず
に月額6万6千円を受給できるようになりました。
◎コメント
在職中は、障害共済年金は支給調整されますが、障害基礎年金は支給調整されません。
ですから2級以上が狙えると思われた場合は、障害基礎年金狙いで請求するのも一つの手
です。2級に認定されれば月額6万6千円の障害基礎年金が収入を得ながらも受給し続けて
いくことができます。
●注意点 |
個人で事業をしている場合(つまり共済組合や厚生年金に加入していない場合)は、どんなに収入があっても支給調整がかかりません。たとえば公務員を辞めて税理士になったり、あるいはフリーのライターになったりして仮に月収が1000万円以上あったとします。しかし、共済組合や厚生年金に加入せずに個人で収入を得ている限りは1円も支給調整されず、満額の障害共済年金が支払われます。
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