分娩麻痺は、腕の神経が分娩する過程の中で損傷する病気です。障害年金では、この分娩麻痺について、一上肢の機能が全廃しているものを2級としています。また、肩、肘は動くものの、指の機能(5指)が全廃している場合も、2級に認定することとしています。
分娩麻痺の場合、先天性(生まれながら)のため、障害年金の制度では20歳前傷病として扱われます。つまり国民年金でしか申請できず、2級以上でなければ受給することができないことを覚えておきましょう。
障害年金の認定要領で示す2級の基準は、「一上肢が全廃したもの」または「一上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの」です。どちらか片方が満たされれば、2級に認定されますので、該当する方は障害年金にチャレンジしてみてはどうかと思います。
手続きをするさいの注意点は、まず初診日の特定をすることです。先天性の病気なので出生時が初診日という考え方も ありますが、手続き上は、腕が動かないことに気づき、そのことを初めて医師に伝えた日を初診日として医証をとります。
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初診日のカルテが破棄されている場合は、腕の異常について書かれている母子手帳や日記など、客観的資料をそろえれば、ほとんどのケースで初診日を認めてくれますので、あきらめずに手掛かりとなる資料を探し、申請にたどりつくことが大切です。
障害年金では、「初診日から1年6か月後」を障害認定日として定めていますが、分娩麻痺の場合、この考え方は適用されません。
障害認定日は、「20歳に達した日」となりますので、20歳になりましたら診断書を取得して、タイミング良く申請したいものです。
もし、申請が大幅に遅れた場合は、過去にさかのぼって障害年金を請求することもできます。この場合、現在と、過去(20歳時)の2つの診断書を取得しなければならないなど、通常の申請より手続きが複雑になります。20歳時の診断書がとれないなど諸問題が生じる可能性が高くなりますので、自分では解決できない問題が生じた場合は、不利益な決定がなされないよう専門家の力を借りることをおすすめします。
◆分娩麻痺と障害年金の関係 |
一上肢全廃→障害年金2級の可能性が!
5指の機能障害→障害年金2級の可能性が! |
※「5指の機能障害」とは、一上肢の全ての指がまったく機能しない場合
をいいます。
※手帳2級の場合は障害年金でも2級になる可能性が高く、3級の場合
は、障害年金では2級または不支給のどちらかになるケースが多くな
っています。 |
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