心臓障害として障害年金の認定を受けるためには、動悸、息切れ、疲れ、呼吸困難、浮腫など心不全に関わる症状が現に認められ、日常生活や行動が大きく制限されていることが必要です。ところが、こうした症状の有無に関係なく、3級に認定されるケースがあります。それが、ペースメーカーです。障害年金では、ペースメーカーを装着した方については、術後の経過が良いものについても3級を与えることとなっています。
※ペースメーカーでも「CRT」、「CRT-D」を装着した場合は2級の可能性が出てきます。「CRT−D実例」はこちら→
障害年金の審査では、診断書の内容が非常に重要視されます。ペースメーカーで申請する方にとっては、とくに「初診日」「既存障害」「既往歴」「傷病の原因」「手術歴」の5項目の確認が必須です。診断書にミスがあると認定されないこともありますので、ペースメーカーを装着したといえども油断はできません。
当対応室の事例でも、ペースメーカー植込み手術の有無が書かれていない、ペースメーカー装着日が抜けている、初診日が違う日付になっている…といった診断書上の記入ミスがあり、医師に訂正を依頼して3級に認定されたケースが何度もあります(そのまま提出していれば不支給の可能性もありました)。
また既往歴や既存障害の項目に、心臓疾患と因果関係のある他の病気の名前が書かれたことにより、一から手続きをやり直したということもありました。
一度、審査に通ってしまえば、ペースメーカーを取り除かない限り、一生、障害年金が受給できますので、最初の手続きだけでも診断書の内容に注意し、不備なく申請しなければなりません。
申請書類でもう一つ重要なのは、病歴状況申立書です。この書類には、これまでの通院歴を細かく記入
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しますが、書き方にポイントがあります。一つは、整合性です。
たとえば初診日証明が取得できずに客観的資料で申請する場合、審査官は本人の申し立てる初診日が本当に正しいかどうかを疑います(客観的資料のみで信じてくれるケースは多くはありません。だから病歴状況等申立書が重要なのです)。
提出された病歴状況申立書で通院の流れを見て、少しでもつじつまが合わなければ照会を出し偽りがないかを探ろうとします。照会に対しては、冷静に対応すればいいのですが、先に提出した病歴状況申立書をいい加減に書いてしまっていると、つじつまを合わせることができないといった事態が生じます。そうなると認定されるかどうかわかりません。
また病院を受診していない期間が長くある場合、社会的治癒とみなされ再診時が初診日となる場合があります。この受診していない期間の身体の状態についても病歴状況申立書に書き込まなければなりませんが、その内容も社会的治癒とするかしないかの判断材料となります。
2級を狙うなら、障害の状態の中でも、とくに訴えておかなければならないポイントがありますし、万一、不支給になり不服申し立てをすることとなったときも、最初に提出した病歴状況申立書をきちんと作成していないと闘えない場合があります。
初めてだと書くツボがわからないと思いますが、基本的には、事実に基づき、つじつまを合わせながら丁寧に仕上げていくことを心がけることが大切です。
●遡及請求について
ペースメーカーの場合、遡及請求ができるケースが比較的多くなります。具体的に以下に該当する場合は、遡及で過去分を取り戻すことができる可能性がありますので検討してみてください。
・初診日証明が取得できそう。
・初診日証明は取得できないが客観的資料で
初診日が明らかである。
・初診日から1年6か月を経過する前に
ペースメーカーを装着した。
・現在もペースメーカーを装着している。 |
◆ペースメーカーと障害年金の関係 |
ペースメーカー+経過良好→障害年金3級になる!
ペースメーカー+経過不良→障害年金2級の可能性が!
CRT、CRT-D装着→障害年金2級の可能性が! |
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