肝臓の病気で障害年金が申請できることを知っている方は、まだ多いとはいえません。認定されるための基準をクリアすることは他の障害と同様、楽ではありませんが、肝硬変へと病状が進み、仕事や日常生活に一定の制限を強いられている場合は、障害年金に該当する可能性があります。申請のタイミングを逃さないよう気をつけてください。
肝硬変の場合、「自宅での安静を強いられている」「入退院を繰り返している」といった、あきらかな病状悪化がみられれば2級の可能性が見えてきます。また、全身倦怠感、浮腫、黄疸、発熱などの症状が繰り返し現れることから労働や日常生活に一定の制限がある場合は3級の可能性があります。
審査では、個々の障害の状態を、診断書に書かれた検査成績(数値)、自覚症状、他覚所見から判断します。また病歴状況申立書から病気の流れ、現存する症状などを確認します。どちらの内容に欠けがあっても正当な評価はしてもらえないので、慎重に手続きを進めていきたいものです。
まず診断書について注意したいのは、記入漏れです。肝臓については医師が障害年金の診断書を書き慣れていないという理由から、内容に不備が出ることが珍しくありません。
たとえば肝臓の病気の場合、臨床所見として、悪心、食欲不振、かゆみ、全身倦怠、発熱、黒色便などがありますが、症状が出ているのに記入されていない、記入されているが評
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価が事実を反映していない…ということがあります。
また肝萎縮、腹水、出血傾向などの所見が認められるにも関わらず、省略されてしまっていることも少なくありません。
こうした診断書のミスは、審査において評価を下げてしまいますので、納得いかない場合は医師と相談し、追記してもらうようにしたいものです。
一方、病歴状況申立書は自分で作成するものです。病気の経緯、現在の病状を、うまく散りばめて書いていく必要がありますが、適当に病気の流れを書いて済ましてしまっているケースが少なくありません。
審査請求(不服申し立て)をするとわかりますが、不当に低い評価をされた理由として病歴状況申立書に書かれていた内容をつついてくることがあります。それだけ病歴状況申立書は重要な書類ですので、気を抜かず丁寧に仕上げていってください。
B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、自己免疫性、アルコール性、胆汁性、ウィルソン病、ヘモクロマトーシスなど、肝硬変の原因はさまざまですが、共通して言えるのは、初診日がかなり昔にある傾向が多いということです。もし当時のカル
テが破棄されていて初診日の医証がとれなかった場合、年金事務所から「受診状況等証明書が添付できない理由書」を書いて提出すように促されます。しかし、この書類のみで初診日が認められることはありません。窓口での申請は受け付けてくれますが、審査の結果はほとんどのケースで「不支給」となりますので、客観的資料をそろえるなど必ず対策を講じてください。
◆肝硬変と障害年金の関係 |
肝硬変+自宅安静→障害年金2級の可能性が!
肝硬変+労働一部制限→障害年金3級の可能性が! |
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