胃がん、乳がん、子宮がん、肝臓がん、肺がん、悪性リンパ腫…など、癌にもさまざまな種類がありますが、すべての癌が障害年金の対象となります。申請するうえで、いくつかの注意点がありますので、知識をきちんと身につけて、慎重に手続きを進めていきましょう。
手続きをするさいは、診断書の種類に注意することが必要です。癌の場合、「その他の障害用という診断書」で申請するのが一般的ですが、たとえば舌がんや喉頭がんなどの場合、その他の障害用ではなく、「言語・そしゃく障害用」の診断書で申請しなければなりません。
また、複数の器官に癌が生じている場合は、併合認定の可能性があるので2種類、3種類の診断書を組み合わせて申請することもあります。
自分がどの診断書で申請するかを間違えると、その障害については評価してくれなくなりますので、間違わないよう医師とも相談しながら、自分の症状に合った診断書を入手し、申請するようにしてください。
「その他の障害用」に該当するものを例示すると、乳がん、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、膀胱がん、悪性リンパ腫、胃がん、食道がん…などがあります。
審査では、癌によって日常生活がどれだけ制限されているかを判断し等級をつけていきます。たとえば行動の範囲がベッドまわりに限られている場合は1級、一人での外出が難しい場合は2級、労働はできても軽労働に限られている場合は
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3級といった具合です(あくまでも目安です)。
また自覚症状がどれだけ出ているかも重要です。全身衰弱、倦怠感、発熱、痛み、易感染症など、癌による(または薬の副作用による)症状がある場合は、すべて記入してもらいましょう。癌が複数の部位に転移している場合は、「骨、肝臓、卵巣に転移」といった文言を入れてもらうことも大切です。
そして、もう一つ気をつけなければならないのは、診断書に抜けを出さないことです。日付、自覚症状、他覚所見、予後など、診断書内に抜けがないかを丁寧に確認し、万全の状態で審査に出したいものです。
障害年金の審査では、癌によって日常生活がどれだけ制限されているかが認定のポイントとなっています。そういう意味では、病院のサポートを受けて生活している入院中が申請するうえでタイミングのいいときといえます。また入院を
繰り返している、自宅での安静を指示されている、余命宣告されている、癌が複数の器官に転移している…といったときも、2級以上の上位等級がつきやすくなっています。
病状は重篤でなくても抗がん剤治療の最中で、発熱、疲労感、易感染症がみられる場合は3級程度に認定されるケースが多くなっています。
障害厚生年金2級以上に認定された場合、同時に遺族厚生年金の受給資格が得られます。遺族厚生年金は、自分が亡くなったときに家族(妻や子)に支給される年金です。もしものことがあったとき、大切な家族に遺族厚生年金の権利を残してあげることはとても大切なことではないかと思います。そういう意味からも、病状が重篤な方は障害年金の申請を検討してみてはほしいと思います。
◆癌の重症度と障害年金の関係 |
生活がベッド周辺に限られる→障害年金1級・2級の可能性が!
一人の外出が難しくなっている→障害年金2級の可能性が!
労働不可または軽労働に限られる→障害年金3級の可能性が! |
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