脳腫瘍がもたらす障害には、運動機能、言語、視力、聴力、精神などさまざまなものがあります。障害年金の制度では、これらの障害をひとまとめに一障害とみるのではなく、それぞれ違う障害として切り離して判定しています。つまり、運動機能なら肢体障害として、視力なら眼の障害として分けて認定しているわけです。すべての障害で申請するのも可能ですが、診断書を障害別に何枚も用意しなければならなくなりお金がかかってしまうため、通常は複数ある障害のなかから比較的重い障害を選び申請します。すべての障害を解説することができないため、このページでは便宜上、脳腫瘍による肢体障害を取り上げ、その手続きについて解説します。
脳腫瘍の障害の一つに、肢体障害があります。脳に腫瘍があることから麻痺が起こり、左右どちらかの運動機能が奪われてしまう障害です。腕に力が入らない、歩行時につまずきやすいといった3級クラスの障害から、片上肢がまったく機能しない、片下肢がほとんど使えない…といった2級、1級クラスの障害まで、重さは人によってまちまちです。また手術前よりも手術後のほうが、麻痺が強まるケースもあり、摘出手術を終えてから障害年金の申請を考える方もいます。
手術前、手術後のどちらで申請するかは自由に決められますので、タイミングを逃さないよう手続きを進めたいものです。 受給できるかどうかは、「麻痺による運動機能障害」を
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審査官にうまく伝えられるかどうかにかかってきます。審査は書類のみで行われますので、診断書の記述、病歴状況申立書の内容に注意してください。
診断書については、まず抜け(空欄)を出さないことが大切です。抜けがあると評価が大きく下がり予期した等級に認定されません。また診断書裏面の日常生活動作の項目に自分の障害がきちんと反映されているかを確認してください。もし不備や記入ミスが見つかった場合は、医師に訂正・追記してもらったうえで申請することをおすすめします。
脳腫瘍の初診日は、自覚症状が出て初めて医師の診断を受けた日となります。このとき加入していた年金制度によって厚生年金(共済年金)で受給できるか、国民年金で受給できるかが決まります。自覚症状としては、頭痛、吐き気、けいれん、手足の麻痺、視覚・聴覚低下などがあり、これらの症状で初めて医師にかかった日が初診日となります。たとえば全身けいれんを起こして小さな病院にかかり、紹介されて大きな病院で検査を受け脳腫瘍が発覚したとします。この場合、脳腫瘍を発見した大きな病院が初診日となるのではなく、自覚症状で受診した小さな病院が初診日となります。
障害認定日は初診日から1年6か月後です。ここで、ある程度の障害が認められた場合は、遡及請求できる可能性もありますので、その頃のカルテに障害のことがどのように書かれているかを医師に確認してみましょう。
◆身体障害者手帳と障害年金の関係 |
手帳1級→障害年金1級または2級の可能性が!
手帳2級→障害年金2級の可能性が!
手帳3級、4級→障害年金3級の可能性が! |
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