多発性硬化症の代表的な症状の一つに運動障害があります。障害が出る場所は神経が脱髄した部位によって異なりますが、両下肢に麻痺が生じる対麻痺や、半身が動きにくくなる片麻痺などがあります。また四肢麻痺となり体が思うように動かせないため寝たきりの生活を強いられる方もいます。
歩行時にふらつく、脚が前に出にくいといった症状が顕著になり始めたら3級、杖をついても歩行がかなり制限される場合は2級、車椅子の生活だと1級に認定される可能性があります。
肢体障害の場合、病気の種類や性質によって評価されるポイントが変わってきます。多発性硬化症の場合、主に筋力低下と「日常生活動作の制限」で等級が決められますので、診断書があがってきたら、少なくとも、この2項目に不備がないかをチェックしなければなりません。
筋力については、やや減、半減、著減といった評価項目に○がついているか、日常生活動作については、○、○△、△×、×といった評価が漏れなくついているかを確認します。さらに補助用具の使用状況も重要視されますので、杖や車椅子を使用されている方は、それについて記入がなされているかも確認してください。
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多発性硬化症では、初診日の特定に悩むケースがよくみ
られます。理由は、初期段階ではまだ多発性硬化症と病名がついていないからです。障害年金の制度では、病名が確定していなくても、自覚症状があり、医療機関を訪れた場合はそこが初診日となります。
つまり確定診断した医療機関ではなく、あくまでも多発性硬化症特有の症状で医師の診断を受けた日が初診日となるわけです。ここを間違えて障害年金の申請をしてしまうと、書類が返戻されてしまいますので気をつけてください。
また初めてかかった医療機関に初診日の証明を依頼するさいは、多発性硬化症ならではの症状があったことを必ず記入してもらい、病歴状況申立書で発病から初診までの経過を丁寧に書き込むようにします。こうすることで、初診日を認定してもらえない…というトラブルが最小限に抑えられ、スムーズに障害年金が決定します。
多発性硬化症は、軽快と悪化を繰り返す傾向にあるため、どのタイミングで申請すればよいか判断しづらい病気です。しかし、等級の判断ができないからといって、申請を先延ばしにしていると、その分の年金を損してしまいます。一つの目安ですが、病気が進行性となり歩行時にふらつき、足が前に出ない…といった状態が頻繁でみられるようになったとき、あるいは身体障害者手帳を取得したときが障害年金の申請を検討するタイミングといえるでしょう。
◆身体障害者手帳と障害年金の関係 |
手帳1級→障害年金1級または2級の可能性が!
手帳2級→障害年金2級か3級の可能性が!
手帳3級、4級→障害年金3級の可能性が! |
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